今年も終わりである。
今年一年は,元日にひいたおみくじの通り,あまり良くない年であった。仕事が多かった一方で,あまり実りのない一年だったわけである。さて,今日は少しマジメに経済系の話でも。
ここを見てくれている人の中にも若干エコノミストな人もいるだろうし,多少の過激な見方をするとでアタマの体操にでもしてもらえればいいと思うのである。
最近,よくデフレスパイラルである,といわれる。この言葉が使われ出したのはもう何年も前になるのだけども。イマイチ納得がいかない。
ある見方によれば,価格が下落→企業収益を圧迫→賃金減少 このメカニズムが連鎖していくことが経済の縮小に繋がるそうだが,価格の下落が企業にとっても仕入れ原価の下落という形になればあまり収益は下がらないはずだし,要するに,実体経済と価格水準はあまり関係がない,という見方も出来なくはないのではないか,と思うのである。これが一点め。
ま,そうは言ってもいわゆる「デフレスパイラル」的なメカニズムがあることは否定はしない。少しはあると思う。ただ,もっと重要なのは,所得があっても消費しない,ということにあるのではないかと。思うのである。
元々,日本の経済は,貯蓄率は下がったとは言え,貯蓄過剰な経済である。今年作ったモノの総額が100円分だとして,これがすべて売れると収入は100円。このうち80円しか消費せずに20円分を貯蓄し銀行に預けると,この20円のうち銀行は10円を企業に融資し,企業は10円を投資する。ならば,今年の総需要は80+10の90円。来年の生産額はこれにあわせて90円となり,経済成長率は-10%となる。
銀行にある20円を,企業がすべて投資として需要してくれれば問題ないのだが,事実上,日本の金融資産はストックで1400兆円ほどたまっている。最近減少傾向とは言え,貯蓄が多く,投資が不足している状況は間違いない。
こんな経済がうまくやってこれたのは,輸出ができたからである。国内での生産が100円,そのうち国内で消費する分が,家計と企業を併せて90円。残りの10円分は,アメリカや中国に輸出。これで需要と供給が大体釣り合い,輸出が増えた分や,国内の投資が増えた分は経済成長率として計上される。ごく基本的なマクロの図式である。
で,問題は何か。
明らかに,問題は国内の需要が少ないことである。言い換えれば,貯蓄過剰。こんなことはもう何十年も言われ続けていることなのだが,貯蓄過剰の経済は輸出に頼らざるを得ず,輸出依存の経済は他国の状況に左右されるし,輸出競争力を確保しなきゃ行けないので,大変なのである。
加えて,国内は少子高齢化が進み,家計消費はますます縮小しつつある。若者に比べて老人は消費しないし,不安だ不安だと言ってなけなしの所得も貯蓄へ回すのである。
少子高齢化についてもう少し言えば,年金がこれだけ世のメイントピックになるように,少子高齢化=不労人口の増加である。これは増税と同じ。経済の足かせになるのは間違いない。要するに,現状の日本の不況はやっぱり国内需要の停滞が問題で,それは主に少子高齢化によっている。あまり消費をせず,労働からは引退し,なおかつ現役世代から年金という重税を吸い取り可処分所得を減少させるグループが,総人口の3割もいるということが最大の要因だ。こんなこと言うと親の世代に殺されそうだが。
要するに,不況のメインな要因は,価格水準じゃなくて人口動態から来る国内需要の状況じゃないかと。最近思うわけである。ただ,マスコミの論調を見ていると,どうも不況と人口動態を結びつけた論調は少ないように思う。ま,視聴者もほとんど高齢者だし,メイン視聴者層のご機嫌を損ねるわけにもいかないのかもしれないが。
さて,最近疑問に思っていることの第二点目。国債について。
さっき書いたとおり,国内需要の停滞が不況の原因だとすると(ちなみに輸出の急減は第二の要因だ),一つ有効な手段が浮かんでくる。言うまでもなくケインズ的な政策である。
ただ,乗数効果が働かないとか,利権がからむとか,いろんな問題はある。だが,ざっくり言って足りない10円分の需要を,政府が需要してあげるというのはあり得る政策である。問題は,財源。
そもそも,国と地方を合わせて800兆だと言われる公債だが,これをどう捉えるべきか? こんな財政を続けていると今に長期利子率が上昇して,,等々言われるのだが,本当だろうか?はて?
このたまりにたまった800兆円は,民間需要が足りない分を国が支出していたことの現れである。要するに,貯蓄超過な経済においては,公債残高が増えていくのは必然ではないか。というか,それしかないのじゃないか。
「家計があまり消費せず,ため込む→それを代わりに政府がちゃんと使ってあげる」
というのは,それほど不健全なことなのかどうか?貯蓄している人は貯蓄する余裕があるから貯蓄するのであって,それを銀行経由で国が使ってあげるというのは,ある意味税金で徴収するよりも逆進性がなく,公平ではないか。不安だ不安だと言って消費をせず,余計に不況を加速させる高齢者を中心とする世帯の貯蓄に対し,「あなたの貯蓄は銀行にちゃんとありますから」と言いつつ,政府がコッソリ拝借し,公共事業なり減税の原資なりにする。それは政府のファイナンスの方法が少し変わっただけで,マクロ経済的には問題ない。というか,合理的。
なので,いたずらに財政の健全化を求める事は,不況を加速させるのだ。ついでに言うなれば,この政府ファイナンスモデルには問題が一つある。それは,国債はいずれ返さなければならない,という問題である。
国債費がかさみ,財政に柔軟性がなくなるというのはよく言われる問題である。ここで一つ提案。徳政令。
国の借金,帳消しである。その合理的な理由はあると思う。というか,これで何か問題があるだろうか?
ま,一口に徳政令と言ってもやり方はいろいろある。江戸時代の徳政令だと,国債の引き受け手である国内の銀行は困るだろう。よって,日銀が保有している国債を全部買い取った後に徳政令とか,日銀が政府に800兆円プレゼントするとか。そうすると,一般会計の20%を占める国債費がフリーになり,子供手当だろうが高速道路無料化だろうが,可能になる。ついでに国営で農業会社でも作って雇用を促進し,新幹線をすべてリニアモーターカーで引き直す。国内需要は大幅増加,輸出が増えようが減ろうが関係なく,日本の経済,万々歳。むはは。
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ついでにもう一つ書いておくが,デフレスパイラルの脱却に対し,原口総務大臣がテレビで「生産性の向上」と言っていた。これは間違いだと思う。
現状,製造業の生産性向上とは,機械化を進め人件費をカットすることにある。需要が大きくならない状況で生産性向上を進めると,当然供給過剰になるわけで,技術革新はいかに効率的に生産を拡大させるか,というよりも,いかに人力を使わないか,という方向に向かう。よって,需要が停滞する状況で生産性を向上させると雇用が減り,労働分配率は減少し,所得は減り,格差は拡大する。というか,いわゆるデフレスパイラルの原因は,このような労働節約的な技術革新にある。よってデフレスパイラルについては,原因が「労働節約的な生産性向上」であり,処方箋は「需要の拡大」だ。
ので,ぜひ徳政令を期待するわけである。
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長文となった。年末にコタツでヒマな人は暇つぶしにでもどうぞ。
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