日曜日。
さて,まじめな研究関連の話。もう一つ。いわゆる「史料」について。
歴史研究において,この「史料」というものはすべてである。その是非はおいといて。この史料,ゲットする方法なのだが,,,
ご存じの通り,歴史の業界では査読付きの論文を書くことはかなり難しい。学会があまり国際化されていないのと,雑誌の数が少ないのと,歴史研究というものが「積み重ね」の影響を大きく受けるからである。
で,学会誌レベルの論文のネタをゲットするには,いくつかの方法があるのである。
1. 「新しい事実」的な史料を発見する。
モノとしては,議会の議事録,会社の経営資料など。現在では忘れ去られたような小さな法律,会社,事実などを史料を用いて明らかにする。若手の研究者にとって,おそらくこれが一番簡単な方法である。その理由は,
・関連の研究史が比較的少ない
・指導教授から「こんな史料あるで」と史料ゲットできることが多い
・史料を読んで書くだけ
である。一方で,欠点としては
・読者に「それが一体どうしたの?」と言われるような小さなネタが多い
・あまりにテーマが小さすぎてリジェクトされる
・テーマが小さすぎて研究史が全くない。よって史料の扱い手法が稚拙になる
・史料に出会う方法が,100%コネ(指導教授や長期の留学)による
など。要するに,コネがなければできない研究で,できたとしてもネタは小さい。
2. 先行研究の批判。
ある程度大きなネタで,同じ史料を使って先行研究のアラ探しをして批判する。ポイントは,
・ある程度大きなネタでなければ論争として取り上げてもらえない
・資料の扱いについて,先行研究以上の深い知識が必要
結果,ある程度キャリアのある人向け。
3. 新しい手法を用いる。
よく使われている史料を用いて,統計やコンピュータを活用した新しい手法を使う。ただし,
・使う手法に対してある程度の知識が必要。大抵の新しい手法は,歴史関係に詳しい人がいないので独学。
・歴史の業界には,統計やコンピュータを嫌う人が多い。
4. 大きな話を語る。
「市場経済の発展とは〜」。「西洋と東洋の文化的違いが,いかに経済社会の違いを〜」。
・大御所専門。
独断と偏見によると,このようなタイプの研究がある。最初から「こんなタイプの研究しよ〜」と考えることはないだろうが,結果としてこうなると思う。
1.のタイプ以外でも史料は必要だが,完全に新しいものである必要はない。その場合,史料を発見するには「関連文献をたくさん読むこと」,この他にない。特に同時代,同地域を扱う異分野の文献が狙い所である。経済史研究者ならば,西洋史,文化史,法制史,社会史など。文学部よりの文献の中に,脚注でちょろっと出所に触れているものに注目だ。
アウトプットが出ないときにはインプットを入れるのだ。便秘でなければ,ちゃんと出ます。
いやはや。
最近のコメント